みほようこ 童話




「竜神になった三郎」


たてしな山のふもとに、小さな村がありました。

あっちをむいても、こっちをむいても、山・やま・山。

さるやりす、かもしかや熊も住んでいる、山深い村でした。



その村に、太郎・次郎・三郎という、三人の男の子が、

仲良く暮らしていました。

「太郎さと次郎さは、元気がいいのぅ。いたずらもよくするし」

「それにくらべ、末っ子の三郎ちゃは、おとなしいのぅ。

誰ににたのじゃろ」

村の人々がいうように、三郎は大人しい心の優しいこどもでした。

兄たちは「三郎や、三郎や」といって、三郎をかわいがってくれます。

三郎も、兄たちが大好きでした。

「あそこの兄弟は、ほんとに仲がいいのぅ」

「おらのとこは、朝からけんかばっかり。どうして仲良くできないのじゃろ」

三郎の兄弟は、人がうらやむほど仲の良い兄弟でした。



春になると、三人はつれだって、 山へわらびやたらの芽などをとりに行きます。

「三郎や、これがわらびだ。ほら、ここにもあそこにもあるぞ」

枯れ草の中に、わらびがかわいい芽をだしています。

三郎は、夢中でわらびをとりました。

「三郎、たらの芽だ。とげがあるから、気をつけろ」

兄たちは、春の山の幸を、三郎に教えてくれます。



秋になると、三人は山へ栗やきのこなどをとりに行きます。

「でけえ栗が落ちているぞー。三郎、こっちへきて拾えや」

次郎が、大声で三郎をよんでいます。

「おっ、あけびだ。じゅくしていてうめえぞー」

太郎は、するすると木にのぼり、三郎にあけびをとってくれます。

そして食べ方を教えてくれました。

「三郎ー、でけえまつたけをみつけたぞー。

早くこっちへこーい」

太郎と次郎は、山の幸をとることが、とても上手でした。

三郎も兄たちに教えてもらい、山の幸をとることが楽しみになりました。



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