みほようこ 童話
「笛の音よ、永久にひびけ」
志賀高原の丘の上に、大きな”いたやかえで”の木が立っています。
「あーあ、よく寝たのぅ。さて、ぼつぼつ目をさますとするか」
二百才になったかえでは、大きなあくびをしました。
そして、芽をだす準備を始めました。
「ほーほけきょ、ホーホケキョ」
四月になると、森へうぐいすがやってきます。
「かえでのおじさん、元気?」
「ああ、元気だよ。うぐいす君、君は良い声だね」
かえでは、うぐいすがくるのを、楽しみにして待っています。
「かっこう、かっこう」
五月なかばになると、かっこうがやってきます。
かっこうの元気な声が、森にひびきわたります。
「かっこう君、君は元気だねぇ」
かえでは、かっこうに話しかけます。
「もうすぐ夏がきますよぉ」
かっこうは、森の仲間たちに、夏の訪れを知らせて歩きます。
「わしもかっこうのように、いつまでも元気でいたいものじゃのぅ」
かえではかっこうの声を聞くたびに、そう思います。
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