みほようこ 童話
「守屋山に黄金色の花が咲いた」
明神さまが住んでおられる守屋山には、雪がとけるころ、
黄金色の花が咲くといういいつたえがありました。
黄金色の花をみた人は、一生幸せに暮らせるそうです。
春になると、おおぜいの人が守屋山に入り、黄金色の花を探しました。
でもなぜか黄金色の花はみつかりません。
守屋山のふもとの村に住む人にとって、黄金色の花は幻の花だったのです。
明神さまへ、雨の日も風の日も、
一日も休まずおまいりにくる一人の少女がいました。
「兄ちゃんが一日も早くよくなりますように。
昔のやさしい兄ちゃんになれますように・・・。
少女は明神さまに、毎日兄のことをお願いしていたのです。
しかし、兄は少しもよくなりませんでした。
少女が明神さまへ千回目のお願いに行った日。
境内の中は、昨夜から降った雪で真っ白でした。
少女は真っ白な雪の上を、神殿にむかって歩いていきました。
すると、神殿の方からおごそかな声が聞こえてきました。
「わしは守屋山に住んでいる明神じゃ。
おまえはなんて心のやさしい少女なのじゃ。
おまえが毎日ここへお参りにきていることは、よーく知っているぞ。
もう千回もここへきたのじゃな。
いろいろつらいだろうが、これからも兄にやさしくしておやり。
兄はそのうちきっとよくなるだろう」
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