みほようこ 童話
「福寿草になった少女」
諏訪湖の近くに、守屋山という山があります。
「守屋山には、明神さまが住んでおられる」と、いわれております。
山のふもとに、朝日長者とよばれる、おおきなやしきがありました。
長者は、宝がいっぱいつまった、いくつもの蔵を持っています。
蔵の中には、美しい皿や茶碗・刀や漆器・掛け軸などが、たくさん入っていました。
しかし、長者にはたった一つないものがありました。
子宝です。
長者夫婦は、人がうらやむほど、仲のよい夫婦でした。
しかし、なぜかこどもが授かりません。
「明神さま、どうかわしらに元気なこどもをお授けください」
そういって、二人は、朝晩明神さまにお願いしていました。
二人は、こどもが大好きです。
「長者さま、あそぼ」
「おくさま、あそびましょ」
やしきの庭へ、近所のこどもたちが、おおぜい遊びにきます。
「じゃんけんぽん」
「あいこでしょ」
「もーいいかい」
「まぁーだだよ」
やしきの広い庭からは、近所のこどもたちの元気な声が、聞こえてきます。
「わしらにも、こどもが欲しいのぅ」
こどもたちをみるたびに、二人はそう思います。
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